静岡県支部主催「鑑定研修会」のご報告
平成23年2月20日に「陸羽の鑑定哲学」「ワインソムリエの表現技術」と題して、X藤栄製茶の時田鉦平氏とシニアソムリエ白鳥智香子氏を講師に招き鑑定研修会を行いました。時田氏の「陸羽」に対する熱い思いと、「陸羽」が理想とする鑑定哲学の講義を聴講しました。
「茶経」三章において、陸羽は鑑定者の理想を次ぎのように随筆しています。
(イ) 形状色択伝々は下級の鑑定家である。
(ロ) 形状色択に捉われぬは中級の鑑定家である。
(ハ) イ・ロ二種を越える相対評価の寛大さは上級鑑定家の証(あかし)である
陸羽は、茶と人間に限り無い愛情を持ち続けていました。
白鳥シニアソムリエの講義では、ワイン表現の奥行きの深さを聴き、まさに、「陸羽」の思想とリンクするところがあり、大変参考になった講義でした。
この鑑定研修会は昨年行った「自分の感覚で表現してみる」のまとめとして位置付けた研修でもありました。まとめと言っても最終的なことではなく、ワインソムリエの鑑定法や表現方法を学び、日本茶インストラクター・アドバイザーとして、お客様にお茶の楽しみ方を伝える手法の参考にしていこうというものです。
白鳥ソムリエの講義の中で、
@ソムリエはワインができるまでのプロセス、ぶどう農家や醸造家の良いところを見つけてお客様(消費者)に伝える。
Aテイステイングのソムリエ的表現はすべて合理的に整理されている・・・。
など。また、テイステイングの目的として、
@ワインの個性を知る。
Aワインの魅力を言葉として伝える。
Bワインの魅力を活かす料理とサービスを推察する等がある。
と教わりました。お茶においても「言葉として伝える」という表現力の必要を感じました。
我々インストラクターやアドバイザーが、そのお茶の持つ内質(水色、香味)などの特徴を見つけて表現し、伝えることができ、その言葉でお茶に興味を持つ人が増えるとすればすばらしい!
今回の研修法は同じサンプルを使い 鑑定@では何の情報も得ないで鑑定 鑑定Aでは産地製造法の情報を得ての鑑定 の2回の鑑定をしました。鑑定@とAの解答用紙を分析してみましたが有意差はあまり感じられませんでしたが、表現力の観点から見れば回数を重ねることで、いろいろな表現がされていくようになるのではと期待するところです。ぜひ次につながる提案を期待します。
参加会員のアンケートでは、「非常に良い講義と実習であった」の感想が多くありました。また、今後の研修希望では、*県内の烏龍茶・紅茶 *全国の番茶(晩茶)*静岡県地域ブランド*品種茶*珍しいお茶*お茶料理*静岡の茶業史等の希望が多くありましたので、皆様の期待に沿うように今後の研修会を企画・運営して行きたいと考えております。
【鑑定研修仕掛け人 山下さんの独り言】
「日本人は目で食す」と言われます。日本人は見ただけでそれを想像し判断できるようです。寡黙で「旨いか」「不味いか」を判断するだけでよいのかもしれない?・・・しかし我々はインストラクター・アドバイザーであり、言葉にして表現をしないと良いところは伝わらない!
<追記>:「陸羽」については、時田鉦平さんの『茶商の読んだ「茶経評釋」』を熟読願います。お手元に無い方は、県支部事務局まで問い合わせください。特別価格1,000円でお譲りします。(数に限りがあります)
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